世の中には、多種多様な店舗があり様々なデザインの看板を見かけます。そのどれもがそれぞれ工夫を凝らしたデザインのロゴとなっています。
私達が何気に見ている店舗のロゴには、その一つ一つに大きな意味と重要性が隠されているのをご存知でしょうか?このロゴ一つで、その店の今後が左右されることもあるため、決しておろそかにしてはなりません。では、店のロゴには一体どのような重要な役割が隠されているのでしょうか?
ロゴマークとは、ただ単に店名を紹介するだけのマークではなく、デザインはもちろん、店舗の事業コンセプト、店舗の発展に貢献できるよう活用するものでなければなりません。そのため、ロゴマークを考えるデザイナーたちは、CI・VI・BIを考えてロゴマークをデザインしていきます。
CIとは、Corporate Identity=コーポレートアイデンティティの略で、企業や店舗が持っている抽象的なイメージや企業理念などを総括して、印象として表すことを指します。ロゴマークで言うと、そのデザインが企業のイメージとなり全体を表現するということになります。そのため、ロゴを見るだけでその店舗をイメージすることができるので、デザインを決める際には、形だけでなくバランスや配色などにも気を遣う必要があります。
VIとは、Visual Identity=ビジュアルアイデンティティの略で、店舗の主力商品などのイメージからロゴマークやイメージを考えていくことを指します。海外の高級ブランドを扱う企業ではこのVIを多く取り入れている場合があります。ブランドが企業のように思われている場合には、このVIとCIの差はほとんどないと考えられます。
BIとは、Brand Identity=ブランドアイデンティティの略で、見た目からイメージを表現していくCIやVIとは異なり、その店舗の個性や特徴を明確して、そこから価値を見出してブランディングしていくことを指します。従って、CIやVIのイメージをより明確にして、価値あるロゴマークを作っていくことです。この方法を多く採用しているのがアパレル企業で、洋服や小物にそのロゴが入るだけでその商品の価値が変わってきます。そのため、商品の価値をより高める効果の得られるデザイン・大きさ・配色にしなければなりません。
成功を収めている大企業や高級ブランドなどのロゴマークを見てみると、意外にどれもシンプルなデザインのものが多いのに気が付きます。ですが、シンプルさゆえにデザインの中にCI・VI・BIを組み込むのは難しいことなのです。しかし、成功している企業のロゴマークには、そのシンプルなデザインの中に明確な経営理念やイメージなどをしっかりと組み込んでいるものばかりです。
さらに、同業者どの差別化も図らなくてはならないため、オリジナリティあふれるもので企業の存在感をアピールしています。
では、企業や店舗のロゴマークはどのように作成されていくのでしょうか?
ロゴマークを作成するためには、まずはその企業や店舗の周辺要素や関連情報を十分に把握する必要があります。そして、戦略的にロゴマークを使用していくCI方法では、ロゴを作成した後にそれを今後どのように使用していくのか、きちんと明確にしておく必要があります。その有効手段としてマニュアルを作成して徹底しておくことです。もし、マニュアル化せずに使用してしまうと、ロゴの配色や大きさ、比率などを、その用途に応じて好き勝手に変更されてしまう可能性があり、これではCI方式に反してしまうことになります。
例えば、コンビニエンスストアのロゴマークなどは、そのカラーで私達はコンビニの種類を認識している傾向にあります。しかし、このカラーがオリジナルと変わってしまうと、どこのコンビニエンスストアなのか分からなくなり、結果そのコンビニの認識が薄れてしまうこととなります。
また、購入ブランドのロゴを好き勝手に様々な広告やパンフレットなどに使用すると、VI方式を採用するショップが多いブランド業界では、そのロゴの価値ばかりでなくショップ自体の価値をも下げてしまうことにもなります。
こうしたことから、ロゴマークのカラー・大きさ・バランス・背景などは、明確な基準に基づき厳格に決めておくことが重要で、使用する場所やパンフレット、Webサイト、名刺などに規定するべきです。
店舗のロゴマークにおいては、デザインの出来により今後のショップの経営が左右されることもあるため、決しておろそかにしてはなりません。最も重視すべきことは、その企業の経営理念をしっかりと持ち、そのイメージに則ったコンセプトを考案していくことです。そしてCI・VI・BIを上手く利用してブランディングしていくことです。カラーだけに頼るデザインではなく、そのロゴにきちんとした意味を持つものとし、そこにカラーを付け加えるイメージが良いでしょう。